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シルバーの種類(純度など)

シルバーの基礎知識

銀はとてもやわらかい金属です。
100%の銀ではやわらかすぎて傷や凹みがつきやすく摩耗に弱い素材です。
またやわらかすぎると彫刻などの加工が難しいというデメリットもあります。
そこで、純銀に他の金属を混ぜることで加工しやすく耐久性のあるものにして、銀合金として利用することが一般的です。
混ぜる金属は割り金(わりがね)と呼ばれ、一般的には(カッパー)が使用されます。

金の純度は一般的に18金や14金のように24分率で表現されることが多いですが、銀の場合は1000分率(パーミル)で表現されることが一般的です。
アンティークシルバーに多いスターリングシルバーは925/1000(92.5%)となります。

銀合金を使ったものの他に、シルバーフィルドやシルバープレートと呼ばれる他の金属の表面に銀を張ったものもあります。
銀合金だけを使ったものより安価に製造できるだけでなく、銀合金では耐久性の問題で製造できないものも製造できるというメリットがあります。

 

シルバーの純度の種類

スターリングシルバー(925/1000)

英国のアンティークシルバーでもっとも一般的な純度です。
英国では1300年代に法定品位となり1920年までイギリスの銀貨はスターリンスシルバーで鋳造されていました。
イギリスの通貨のポンドの正式名称は今でも「スターリング・ポンド」です。
スターリング(STERLING)には「本物」「信頼できる」という意味があります。
「純銀」というと100%の銀を思い浮かべますが、イギリスの法律ではスターリングシルバーは「純銀」と定められており、アンティークシルバーの世界でもスターリングシルバー以上の純度であれば「純銀」と表記するのが一般的です。

ブリタニアシルバー(958/1000)

イギリスでは1697-1720年頃こちらが銀貨の鋳造に用いられる法定品位となっていました。
しかし柔らかすぎて加工が難しいためもとに戻されたようです。
95%(950/1000)の純度のものもまとめてブリタニアシルバーと呼ぶ場合もあります。

コインシルバー(900/1000)

イギリスやドイツ以外のヨーロッパ諸国の多くは90%の純度で銀貨を鋳造していました。
イギリス・ドイツ以外のシルバー製品によく使われています。
スイスやアメリカ製の銀の懐中時計のケースなどはコインシルバーが多いです。

コンチネンタルシルバー(800/1000)

主にドイツで使用されていたため「ジャーマンシルバー」と呼んだりもします。
しかし後述の「洋白」もジャーマンシルバーと呼ぶことがあるので混同しないよう当店ではコンチネンタルシルバーで統一しています。
ただし、イギリス以外のヨーロッパ大陸の銀製品を総じてコンチネンタルシルバーと呼んだりもするのでその場合は製造国によって純度はいろいろです。
割り金(銅)の比率が高いため耐久性はありますが、銅のサビの一種である緑青と呼ばれる青いサビがでてしまうことがあります。

 

シルバーフィルド、シルバープレート

シルバーフィルド(銀張り)

真鍮などの合金を芯として総重量の20分の1ほどの銀合金をコーティング(圧着)しています。
銀合金はスターリングシルバーであることが多く、重量比については製品によって異なります。
シルバープレートよりも銀の厚みがかなり厚く、剥がれることもほとんどありません。

シルバープレート(電気メッキ)

EPNS(electro plated nickel silver)と呼ばれるもので、ニッケル合金に電気を用いて銀メッキをほどこしたものです。
その歴史は意外に古く1830年代から製造されています。
EPBM(electro plated Britannia Metal)と呼ばれるブリタニアメタル(ピューター)に銀メッキしたものもあります。

シェフィールドプレート

ニッケル合金ではなく銅に銀メッキをほどこしたものです。
1742年頃、英国シェフィールドの刃物職人トマス・ボウルゾーバーが発明したことから名付けられました。
電気メッキが導入される以前の「オールドシェフィールド」と呼ばれるものは、銀のシートを熱で圧着することによって作られています。
オールドシェフィールドが磨かれて薄くなった部分に銅の色がでているものは独特の美しさがあり、アンティークコレクターに人気があります。

 

その他

ニッケルシルバー

銅、亜鉛、ニッケルから構成される合金で「洋白」「洋銀」「ジャーマンシルバー」などとも呼ばれます。
日本の500円硬化などはこのニッケルシルバーです。
色が白銀色なのでカトラリーなどに使われますが物質としての銀は含みません。

ピューター

「しろめ」「ブリタニアメタル」とも呼ばれるスズを主成分とする古くからある合金です。
スズ以外はアンチモンや鉛、銅などが含まれます。
融点が250℃と低いため加工がしやすくその歴史は古く少なくとも2000年前からあるそうです。イギリスでは14世紀頃から組合(ギルド)が存在しました。
色がシルバーに似ていますがこちらも物質としての銀は含まれません。

ニエロ

銅、銀、鉛などの黒い合金で、エングレーヴィング(彫刻)の溝に象嵌する装飾技法です。
シルバーと黒の対比が美しいため銀製品の装飾によく使われます。
特にロシア(キエフ大公国)のニエロ装飾品が有名です。


まとめ

シルバーにはそれぞれの国の歴史や使用目的によっていろいろな種類があります。
単純に純度が高ければいいというわけでもありません。
また物質としての銀(シルバー)と色としての銀(シルバー)があるので言葉の使い方が紛らわしい部分があります。
意味が一定しなかったり混同されている場合も多いですが、ここでご紹介した言葉がわかるとアンティークシルバーの楽しみが大きくなると思います。

 

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