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アンティークシルバーの装飾技法

アンティークシルバーの装飾技法

アンティークシルバーの大きな魅力として、銀職人(シルバースミス)達による精巧でエレガントな装飾があります。

現在の工業製品の装飾は器械による物がほとんどですが、当時の装飾はほとんどがノミやハンマーなどの工具を使った手作業によるものです。

ここではアンティークシルバーの装飾に使われる装飾技術、方法などをまとめました。

 

代表的な装飾技術

1.彫刻(エングレービング)

 エングレービング

銀の表面を削り取り細密な模様を付ける方法となります。
中世以降のヨーロッパの銀製品に広く使われてきた代表的な装飾技法です。
深く削った浮き彫り(レリーフ)タイプや、浅く繊細なタイプなどがあります。
表面を削り取るため打ち出しと異なり裏側には装飾が見えません。

 

2.打ち出し(チェイシング/レポゼ)

 打ち出し

ハンマーなどで叩いて表面にくぼみを付けて立体的な模様を作る装飾技法です。
エングレービングと異なり銀を削ることはなく、裏側にも装飾が見えます。
表から叩いて沈める技法を「チェイシング」裏から叩いて押し出す技法を「レポゼ」と呼びます。
この2つの技法を組み合わせて様々な立体装飾が生み出されます。

 

3.透かし彫り(ピアッシング)

 透かし彫り

銀製品に穴を開けて装飾パターンをほどこす技法です。
最初はハンマーとノミを使って穴をあけていましたが、18世紀後半頃から糸鋸を使ってとても繊細な加工ができるようになりました。
バスケットやボウルなどによく見られる技法です。

 

その他の装飾技術

4.ブライトカット

 ブライトカット

エングレービングの一種で18-19世紀頃の英国でよく見られる装飾技法です。
鋭利な刃で溝を斜めに切り込むことで、角度を変えるたびにキラキラを輝いて見えます。

 

5.ニエロ(黒金象嵌)

 ニエロ

彫刻された銀に熱した黒い合金を注いて磨き象嵌する技法です。
ロシアや中東などで伝統的に用いられた技法ですがヨーロッパでもたまに見られます。
シルバーと黒の組合せが美しく独特な表現を生み出すことができます。

 

6.フィリグリー

 フィリグリー

銀を糸のように細く加工したものを巻き上げて模様をつくるとても繊細な技法です。
ジュエリーなどに多く使われる技法ですが、カトラリーなどにもアクセントとして一部に使用されることがあります。

 

まとめ

ここでは代表的なものだけを紹介しましたが、細かい技法についてはさらに様々なものがあり、それらを組み合わせて装飾がされていきます。

ほとんどが職人の手作業による、気が遠くなるような時間と技を注いでほどこされた装飾は、100年以上経った今も私達を魅了してくれます。

 

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