サイドバーを表示
アルバートチェーン

アルバートチェーンとは?

アルバートチェーンとは懐中時計を身につける際に使用するチェーンのことです。

英国のヴィクトリア女王(在位1837-1901年)の夫であるアルバート公(1819-1861)にちなんでこう呼ばれています。
アルバート公の亡くなった1861年頃から英国で大流行したそうです。

懐中時計を落とさないように衣服に接続するという実用面だけでなく、おしゃれに身につけるための英国紳士のアクセサリーとして発展しました。

懐中時計とアルバートチェーン
懐中時計とアルバートチェーン


女性用のものもあり、そちらは「アルバーティナ」と呼ばれることもあります。

アルバーティナ
アルバーティナ

 

アルバートチェーンの付け方

アルバートチェーンの基本的な使い方は、ベストのボタンホールにチェーンのTバーと呼ばれる部分を通し、チェーンの先のクリップに取り付けた懐中時計をポケットに入れる着け方です。
チェーンが1本のシングルタイプや、チェーンが2本のダブルタイプ、フォブと呼ばれる小さなアクセサリーの見せ方などでいくつかの着け方があります。

アルバートチェーンの付け方
ベストへのアルバートチェーンの付け方いろいろ

 

クラシックな3ピースのスーツスタイルだと上の図のような付け方が定番です。
今でもオーダーのベストには「チェーンホール」の呼ばれるアルバートチェーンを取り付けるための専用の穴が空いているものがあります。

アルバートチェーンの付け方

 

こうしたクラシックなスタイルの定番の付け方のほか、以下のような使い方もできます。

・少し長めのチェーンを使って首元付近のボタンからスーツの胸ポケットへ
・コートのボタンからコートのポケットへ
・ボトムス(ズボン)のベルトループからボトムスのポケットへ

新しいアルバートチェーンはカジュアルな服装にも使いやすいように、Tバーの部分が引き輪やクリップになっているものもあります。
アンティークのアルバートチェーンもTバーの部分だけこうした部品に取り替えて使ってもいいと思います。

引き輪とクリップ

最近ではアンティークのアルバートチェーンを懐中時計用でなく、財布を取り付けるためのウォレットチェーンやネックレスとして使う方もいらっしゃるようです。

アルバートチェーンをネックレスに使う

 

いろいろなアルバートチェーン

形状としては大きくチェーンが1本のシングルタイプとチェーンが2本のダブルタイプがあります。
ダブルタイプは懐中時計を2個付けたり、片方に鍵巻き時計用の鍵を付けたり、ピルケース(薬入れ)やヴェスタケース(マッチ入れ)マジックペンシル(小型のメカニカルペンシル)などを付けていたようです。

 

アルバートチェーンの種類

 

材質は英国アンティークのものはスターリングシルバー製のものが多いです。
英国のスターリングシルバー製のものはパーツ1つ1つにホールマークと呼ばれる刻印をつけるルールがあるため、Tバーやクリップ、すべてのチェーンリンクにホールマークが入っています。

アルバートチェーンの刻印


その他にも金張り(ゴールドフィルド、ゴールドプレート)や金無垢のもの、安価なものだとニッケル合金製のものなどもあります。
変わったものでは樹脂を使ったものや人間の髪の毛を使ったものなどがあります。

アルバートチェーンの材質

 

チェーンリンクの形状は一般的な喜平型の他、いろんな形状のものがあります。

アルバートチェーンのチェーンリンクの種類 


アルバートチェーンにはサブチェーンと呼ばれる短めのチェーンに「フォブ」と呼ばれる小さなアクセサリーが付いていることが多いです。
印籠などの「根付」や携帯電話の「ストラップ」のようなものと考えて良いでしょう。
最初から取り付けられていたわけではなく、持ち主が好きなものを取り付けていたようです。
記念メダルのようなエンブレム型のもの、琥珀やラピスラズリなどの天然石をあしらったもの、シルバーチャーム、封蝋(シーリングワックス)用のシール型のもの、コイン、ロケット型(小さな写真入れ)など様々なタイプがあります。

アルバートチェーンのフォブ


まとめ

アルバートチェーンは本来クラシックなスーツスタイルで懐中時計を持ち運ぶときに使うアクセサリーですが、現在のカジュアルなスタイルや懐中時計用以外としても色んな使い方ができます。

様々なタイプのフォブと組み合わせて、ぜひおしゃれな使い方を考えてみてください。